フォーム営業と法令。特商法・薬機法・弁護士法・景表法で気をつけること
最終更新 2026年09月08日
「御社は法令違反のリスクがあります」だけの指摘は、担当者に「それで?」と流されて終わる。フォーム営業では、どの条文の、どの表現が、どう問題なのかを具体的に示せるかどうかで返信の有無が分かれる。以下、実務でそのまま使える書き方を法令ごとに整理する。
薬機法:条文番号と表現の言い換えをセットで示す
薬機法対象企業への指摘文では、「効果」「治る」という言葉自体を使わず、「サポートする」「整える」という表現に置き換えて送るのが無難。相手のサイトの表現を批判する文章の中で自分が薬機法に触れる言葉を使ってしまうと説得力が落ちる。
- 指摘は必ず条数を明記する(例:第66条に照らして、という理解でよろしいでしょうか)
- 「即効性」「永久効果」は誇大広告に該当しやすい表現として、具体事例を1件添える
- 「厚労省届出済み」など誤認を招く簡略表現がないか確認する
- 直近1週間以内の同業事例を1件だけ添えると最新性が伝わり読み飛ばされにくい
条文番号がない指摘は「根拠不明」と突き返されやすいので、必ず条数とセットにする。
景表法:優良誤認か有利誤認かを明示し、価格計算式まで示す
景表法の指摘は「優良誤認」か「有利誤認」かを明示しないと、該当箇所を特定できないと聞き返される。どちらに当たるかを一文で示してから該当箇所を挙げる。
- 「No.1」表示は調査機関名と調査期間の注記があるか確認し、なければその旨を指摘する
- 景品類の価額算定は税込価格が基準になる点を、実際の計算式で示して確認する
- 打消し表示の文字サイズが本文比1/4以下に見えるケースは、比較対象表示に関する実態調査報告書を引用すると効きやすい
- 自社スタッフの口コミを一般消費者の声として掲載している場合は、投稿者の属性が明記されているか確認する
指摘文の最後に消費者庁ガイドラインの公式URLを添えると、担当者の社内稟議の裏付け資料として使ってもらいやすい。
弁護士法:紹介料・示談代行・監修表記を分けてチェックする
士業関連の営業や指摘は、表現の選び方だけでリスクが変わる。士業への営業では「案件紹介」を避けて「マッチング支援」という中立的な表現を使い、「成功報酬型」も避けて「成果連動型」に統一する。
- 弁護士監修を謳うサイトは、監修者の所属弁護士会と登録番号の記載有無を具体的にチェックする
- 「無料相談」の後に弁護士以外が示談交渉を代行する導線がないか確認する
- 非弁護士が「300万円は取れる」のように示談金額を断定提案していないか確認し、あれば「弁護士の判断による」という留保表現に直すよう促す
- 紹介料名目での弁護士報酬分配は1円でも弁護士法74条違反になりうる点を指摘する
- 自分の指摘文自体が弁護士法72条に触れないよう、「法的見解」でなく「一般的な留意点」という表現にする
特商法:連絡先・解約導線・返金条件を1ページずつ数える
特商法まわりは、抽象的な指摘より「何ページ目に何が書かれていないか」を数えて示す方が伝わりやすい。
- 返金保証の条件が不明記のサイトは、条件が書かれているべき箇所が何ページ目にあるか数えて指摘する
- 電話番号欄が携帯番号やIP電話番号のみで、固定電話の記載がないか確認する
- 代表者名が屋号や部署名のみで、フルネーム表記になっていないか目視でチェックする
- 定期購入の解約導線はクリック数3回以内が消費者庁ガイドラインの目安、と伝える
- 問い合わせフォームに返品連絡先の記載がない事例は、トラブルが訴訟化した割合を伝えると担当者が焦りやすい
- 美容医療クリニックにはビフォーアフター写真の撮影条件が明記されているかを指摘材料にする
伝え方:疑問形・留保・脅迫回避を徹底する
内容が正しくても、書き方次第で通報対象になったり着信拒否されたりする。
- 指摘はすべて疑問形にする(「〜という理解でよろしいでしょうか」)。攻撃的に読まれず返信率が上がりやすい
- 「このままでは行政処分の可能性があります」のような断定は脅迫と受け取られやすいので避ける
- 「無料相談です」と書きながら折り返し電話を求めると、営業電話と警戒されて着信拒否につながりやすい
今日からできることは3つ。指摘文を全部疑問形に直すこと、条文番号と該当ページを必ず添えること、そして自分の文面に薬機法・弁護士法に触れる表現が紛れていないか送信前に読み返すこと。この3つだけでも、返信の付き方は変わりやすい。
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